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  • Instagramのリール投稿について、私なりに解説

    Instagramのリール投稿について、私なりに解説

    今では生活の一部となっているSNS。ほとんどの人がスキマ時間に何かしらのSNSを閲覧していることが当たり前の時代になった。SNS自体も、ずっと仕様が変わらないということはなく、定期的に新機能が登場したり、時代に合わせて変化をしていっている。

    私は普段からInstagramを活用することが多いのだが、Instagramも同様に仕様変更が定期的に行われている。(私が個人的にInstagramを始めた頃は、写真投稿も1枚のみだったことが遠い昔のように思える。)その中でも最近よく活用されている昨日が「リール」だ。

    この「リール」という機能は、縦型の動画を投稿・閲覧できる機能で、最大60秒まで投稿ができる。TikTokが分かる人はそちらをイメージしてほしい。

    Instagramをもっと活用していきたいという人はぜひこの「リール」を活用してほしい。「リール」投稿をおすすめする一番の理由は「閲覧数が伸びる」から。2019年からグルメ投稿を続けてきたが、投稿の閲覧数はめちゃくちゃ伸びて10,000くらい。それに対し「リール」は一番見られているもので20,000を超えている。(ちなみにリールはまだ5本くらいしか投稿していない)フォロワー数に関係なく閲覧数は伸びる点もおすすめする理由の一つだ。

    とはいえ、どんな動画でも必ず伸びるかと言ったらそうではない。(これは投稿も同じで、私も研究中の身です。)個人的にここだけは押さえておきたい!という点が下記2つ。

    ・最初の2秒
    ・サムネイル

    最初の2秒が重要な理由は、Instagramで検索画面を開いたときに、普段自分が見ている投稿をもとにInstagram側が関連する投稿を見せてくれるのだが(「発見」と呼んでいる)、ここに自分の「リール」投稿が載った時に最初の2秒で惹きつけることができれば、「動画を開く→プロフィールを開く→他の投稿も見られる」という流れに持っていける可能性が高くなる。その動画の内容とこれまでの投稿の内容が閲覧者にとって有益な情報だった場合にはフォロワーになってもらえる。

    サムネイルが重要な理由は、最初の2秒が重要な理由と近い部分もあるが、例えば自分のアカウントのプロフィールを見られた際に、リールでまず見られるのは「サムネイル」になる。(プロフィール画面で投稿一覧を見た場合、動画は自動再生されない仕様になっている。)サムネイルの写真と文言を見て閲覧者が「なんだろう」「見てみたい」と思えるサムネイルを作成する必要がある。

    私の実際の投稿で、閲覧数(再生数)が大幅に違うものがあるので、例としてあげておく。

    これは同じお店の投稿だが、サムネイルで使用した画像と文言が全く異なる。もちろんサムネイルだけが原因というわけではないが、一方は閲覧数が409なのに対し、もう一方は20,000まで伸びている。どのようにしたら「続きを見てみたい」と思ってもらえるか、飲食店のアカウントであればそこからどうやって「お店に行ってみたい」に繋げられるかを考える必要がある。 まだまだコロナウイルスの影響があるなかで、お店を知ってもらう1つの手段として活用してもらえたらと思う

    記事執筆
    Instagramアカウント名:ひやむぎこ?東京グルメ(@hiyamugico)
    外食業界で働く28歳、インスタ大好き女子。ごはんの写真をUPしています

    飲食業界誌「スマイラー」

    毎月15,000部を発行する飲食業界誌です。飲食業界で働く人の笑顔を全国に届けたいという想いから、2009年に創刊しました。飲食店経営の楽しさ、厳しさなど、飲食への想いを丁寧に取材しています。
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  • 東京都水道橋にレンタルキッチンがオープン

    東京都水道橋にレンタルキッチンがオープン

    客席が無く宅配で料理を提供する飲食店「ゴーストレストラン」を対象にした、レンタルキッチンが東京都、水道橋で3月26日にオープンした。キッチン名は「THE GHOST RESTAURANT(ザ・ゴーストレストラン)」だ。運営は株式会社ランデスホールディングスの代表取締役、下村英司氏。自身でゴーストレストランを運営後、次は場所を貸す側としてレンタルキッチン業を開始した。特徴は何といっても中小飲食店の使い勝手を追求した点にある。 “下村英司氏”という人物にスポットを当てながら、立ち上げの経緯を紹介したい。

    下村英司とはどんな人物か?

    大学卒業後はホテルのレストランに就職。先輩たちは5、6歳年下の荒れくれ者ばかりで、厳しい環境だったが必死に働いた。その後、上層部から推薦され割烹旅館へ移籍。夢中で働くも調理場の冷えから腰のヘルニアを発症。安静のために1週間ほど入院してから出勤すると、経営者からクビを宣告された。なんてこった。
     ヘルニアも完治していなかったことから、次は経営を勉強するために営業職に就職。抜群の成績を上げ、管理職に昇進、新規事業の立ち上げにも携わった。その後2007年にSEOとインターネット広告を主軸としたIT会社を設立する。そして2022年、レンタルキッチン事業を開始した。

    なぜ、レンタルキッチンをやるのか?

    実は過去にシェアキッチンを借りて、デリバリー専門のジビエ料理店を運営した経験がある。そのキッチンは月額26,000円、既定の時間を超えても1時間当たり1,000円と格安で利用できた。しかし仕入れた食材や仕込んだ料理を在庫することができない。朝、食材を持っていき終わったら全部持ち帰る日々。シェアキッチンは駅から徒歩1分と便利な場所にあったが、結局は車で食材を運ぶため駐車代もばかにならなかった。

    そこで効率を上げるために時間貸しではなく、デリバリー専用の占有できるキッチンを探し始めた。資料請求してみると月額料金や初期費用が想像以上に高額なことに驚く。高額にも関わらず、ほぼ空室が無い状態にはもっと驚いた。しかしこの価格では契約できない。もっと小規模で、もっと安価に開業できるレンタルキッチンがあれば喜ぶ人がいるのではないかと考えた。これがレンタルキッチン事業を立ち上げるきっかけとなる。

    あの日の妻との晩酌は、最高だった

    レンタルキッチンを始めるにあたり、試算すると自己資金では到底実現できないことが分かり、かなり落ち込んだ。しかし情報を集めているうちに「事業再構築補助金」を知る。この補助金の申請は、素人では採択されるなんて無理だと言われたが、中小企業支援財団の無料相談に通いつめ、中小企業診断士の先生に何度も添削してもらいながら申請書を書きあげた。そして2回目の申請で採択を掴んだ。
    その日は、支えてくれた妻と喜びを分かち合い、当初から相談に乗ってくれていたテンポスの担当者に電話で報告。いよいよ走り出す。

    現場監督、やるしかない

     内装工事は、下村さんが現場を指揮している。店舗工事の経験はないが、諸事情により自分ですることになった。現場に行くと、1階から2階までの搬入経路には厚手のブルーシートがピッチリと隙間なくテープで固定されていた。下村さんが夜な夜な貼ったのだ。こういうところを、きっちりとやることが大事なのだと話す。

     排煙ダクトを2階から5階の屋上まで設置する時は、外壁に足場を組む必要があった。そのため道路使用許可証の申請代行をお願いしようと考えた。しかし、いざ見積をとると、10万円の見積書が返ってきた。理由を聞くと交通費も含めてそれくらいかかるのだとか。そんなアホな話あるかということで、自分で申請することに。警察署に行き教えてもらい、手数料2,700円で申請の手続きを終えた。全く難しいことはなかった。他にも、道路の交通誘導員も自分ですることで費用を節約し、また現場管理もスムーズに進めることができた。

     現場では業者がちょっと驚くことがある。それは冷蔵ショーケースがあり、缶コーヒーやお茶、さらに缶ビールやサワーまで置いてあるのだ。その日の労いの気持ちを込めて、下村さんが業者さんに渡している。お昼は毎日、近隣をまわり美味しい弁当を買って職人さんに振る舞っている。最近では、いつも来てくれる職人さんが頑張ってくれているからと、休憩用にコーヒーゼリーも買っているのだとか。神か!

     他にも、工事の様子はタイムプラスで撮影しほぼ毎日SNSで配信している。現場監督をしながら、開業に関わる準備もして、SNSでの情報発信も欠かさない。そのバイタリティーには誰もが驚くことだろう。

    内装工事初期の写真。現場監督は下村さんが務めた。

    中小飲食店の使い勝手を追求したレンタルキッチン

     最後に、「THE GHOST RESTAURANT」の特徴について紹介したい。室内には8つの厨房区画があり、1区画の広さは1.5坪~1.8坪だ。各区画に冷蔵庫や3口のガスレンジ等が設置されている。また、給湯器や電気の子メーターも区画ごとに付いているため設備面も充実している。JR「水道橋駅」から徒歩2分とアクセスが良いのも借り主にとってメリットだろう。各デリバリーサイトの注文は1つの端末で管理できる。また、防犯カメラを4台設置した上で、昼は建物に入る自動ドアは開けておき、デリバリーの配達員がスムーズに出入りできるスタイルにする。その他にも、デリバリーサイトのSEO対策や、各種デザイン等の要望にも有料でこたえていく。「面倒なことは、全部うちに言ってください。皆さんは本業にぜひ専念して欲しい」と話す。契約期間は最短6カ月間から、賃料は10万円台となる。詳しく知りたい方は、ぜひ問い合わせてして欲しい。

    内装工事中に置かれてたドリンク類。職人さんや業者さんに感謝の気持ちを込めて缶ビールなどを配っていた。

    企業情報
    レンタルキッチン「THE GHOST RESTAURANT(ザ・ゴーストレストラン)
    東京都千代田区神田三崎町3-6-17 BACHビル2階
    株式会社ランデスホールディングス
    代表取締役 下村英司氏
    TEL:050-5583-8821

    飲食業界誌「スマイラー」

    毎月15,000部を発行する飲食業界誌です。飲食業界で働く人の笑顔を全国に届けたいという想いから、2009年に創刊しました。飲食店経営の楽しさ、厳しさなど、飲食への想いを丁寧に取材しています。
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  • あなた!鼻毛が見えていますよ(-_-;)

    あなた!鼻毛が見えていますよ(-_-;)

    昔初めて伺ったレストランで、食後にシェフが挨拶に来てくれました。
    「お口に合いましたか?」
    「あ、はい。」
    口ひげを蓄えた40歳代ぐらいの男性シェフ。ん?口ひげが鼻の穴に1本向かっているけど、どういうこと??あ、鼻毛だ!!

    清潔と不潔の彼岸

    マスク着用が必須の現在、お客様に鼻毛を見られる機会は少ないと思いますが、飲食店スタッフの鼻の穴から毛が出ていたらどうお感じでしょう?汚いとまでは思わないかもしれませんが、なんか残念だと私は感じます。頭髪・無精ひげ・香水などの匂い・手指の爪など、飲食店では厳しく指導されるのではないでしょうか?
    日々、食中毒を出さないように衛生に気を遣い、手洗い・消毒・食材別にまな板や包丁を変えるなどしていても、見た目や匂いなどの感覚的な印象は衛生管理よりもっと早く伝わってしまいます。中でも指導しにくいけれどお客様に不快な思いをさせてしまうものに、体臭・歯・口臭・鼻毛の処理などがあります。
    体臭は個人の特質だと考えられることが多く、歯抜けや歯の汚れなどもあまり店内では問題にされないのではないでしょうか?口が臭いのも指摘しにくいですよね?

    ルールとして明文化するか意を決して注意する。

    身だしなみについて、採用時に明文化したルールを説明すればかなり楽になります。しかし放置されてきた体臭などは、以前からそうなのになぜ今言われるのかと捉えられることもあり、なかなか難しい問題です。

    私の店長代理時代の体験談を一つ。
    以前から腋臭(わきが)が強いアルバイト君(H君)がいました。ある時、系列他店の社員よりH君の腋臭を指摘されました。店長が不在の時期でしたので私が何とかしなければなりません。
    「おいH君。君腋臭だよね?」
    「はい。軽く。」
    軽くはないのだけれどと思いながら、
    「僕も腋臭なんだよ。でもそう感じたことがある?」
    私は腋臭ではありませんでしたが、飲食店勤務だから夜はもちろん、出勤前にもシャワーを浴びていること、匂い消しの薬を使っていることを話しました。するとH君の意外な私生活がわかりました。H君は大学を留年しており、両親との関係がよくありませんでした。24時を過ぎると音がうるさいから風呂場を使わないように言われていたのです。アルバイトのシフトは24時までです。つまりアルバイトの日は毎日風呂に入っておらず、両親がいない時間にしか入浴できなかったのです。週2~3回程度。
    これでは腋臭でない人でも臭くなりますよね。用意しておいた抗腋臭クリームを渡し、早く帰れる日は22時くらいに退店させるようにした結果、H君はまったく匂いがしなくなりました。

    直せるものは直そう。直させよう。

    私自身、鼻毛が伸びるたちなので、ブラジリアンワックスを使用しています。劇的に取れます。むしろ楽しく感動的で自己施術は完全にルーティンとなっています。肌が弱い方にはお勧めできませんけど。口臭も正しい歯磨きをすればかなり改善されますし、私は年に数回、虫歯がなくても歯科で口内のお掃除をしてもらっています。歯周病はその他の疾病の原因にもなるのでケアすべきです。
    プロのスポーツ選手は日々鍛錬し、食事や体調に気を遣うしお金も使っています。自分は高いお給料をもらっていないから、身だしなみにお金は払いたくないとお考えなら、飲食店スタッフとして生活することは困難だと思いますし、お給料も上がりにくいと思います。
    なにより仕事以外のご自分の周囲も、そこを評価していると思います。

    筆者プロフィール
    ミハエル・アーリオオーリオ
    20世紀日本生まれ。大学卒業後、20年のサラリーマン勤務ののち、2014年ダイニングバーを開業。
    かたわら、心身の健康を損なう顧客や友人が多いことに疑問を感じ、食生活の改善を提案する社会派フードライターとしても活動中。
    「価格破壊の功罪」「日本酒知識でマウンティング」「食中酒は調味料である」「半分正しい脱炭素化」などセミナー・講演実績多数。老猫と暮らす。

    飲食業界誌「スマイラー」

    毎月15,000部を発行する飲食業界誌です。飲食業界で働く人の笑顔を全国に届けたいという想いから、2009年に創刊しました。飲食店経営の楽しさ、厳しさなど、飲食への想いを丁寧に取材しています。
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  • 波乱万丈人生が生んだ、新宿2丁目の「人情酒場」

    波乱万丈人生が生んだ、新宿2丁目の「人情酒場」

    新宿2丁目のニューハーフBARダイヤのママ、猪瀬真世さんは、お客様の「鎧」を脱がせる名人だった。

    「人情酒場」の由縁

    新宿2丁目は、本来夜が深まるほどに賑わう街だ。そんな街にとっては、新型コロナは深刻な逆風。時短営業で店じまいを求められた午後8時は街が目覚める時間。ほとんどの店が、長い休業を余儀なくされた。

    2丁目で人気の高かったニューハーフBARダイヤも例外ではなかった。

    今年、BARダイヤは開店6周年。緊急事態宣言が解除されて1ヶ月半後、感染者数が抑えられていることを確認しつつ、慎重に6周年パーティを開催した。

    「イベントを行うかどうかは、やはり悩みましたが、感染者数も下げ止まり状態でしたし、お客様のご要望も多かったので、思い切ってやりました。2年ぶりにご来店いただいたお客様もいて、やってよかったなと思います。お客様は私どもを、私どもはお客様を心配していたので、お互いの元気を確認して喜び合いました」と笑顔で答えてくれたのは、店主の猪瀬真世さん。

    BARダイヤを「人情酒場」だと表現する人がいる。真世さんの気持ちに寄り添う接客は、お客様の鎧を脱がす。ありのままの自分でいられる場所になる。人情とは、人間のありのままの情感のことだ。

    「人の距離感って大切だと思うんですよ。だから一歩ずつ相手の懐に入っていくような会話を心がけています。いきなり入りすぎない。でもだんだん深く入り込んで、相手の話を引き出し、それを親身に聞くことでちょっとした絆ができる。だから心を開いてくれるのかなと思います」

    どん底からの復活

    実は、真世さん、ここまで波乱万丈の人生を送っている。その経験が人の気持ちに寄り添う優しい接客に反映しているのかもしれない。

    真世さんが家族と一緒に東京に出てきたのは26歳の時。きっかけは実家の家業の倒産。家族で一文無しからのやり直しを決意したところで、大黒柱の父親が急逝。他にもいくつかの不幸が重なり、住む場所も無くなり、生活保護を受けることに。

    「精神的にも一杯一杯になっていました。当時のソーシャルワーカーさんに、しばらく心と体を休ませた方がいいと言われ、生活保護のお世話に。この時は、何かぼーっとしているような感じで、外に出るのも辛くて。1年半ぐらい過ぎたあたりで、少しずつ外に出てみようかと思えるようになり、そんな時、先輩が連れていってくれたのが2丁目のお店。リハビリの意味で、その店で週1日のアルバイトを始めることになりました。それが2日になり3日になり、最後はちいママとして働かせて頂きました」

    最初は、生活保護にまで「落ちた」という意識が強く、自分を卑下していたという。しかし、開き直ってやりたいことをやって、わがままになってみようと思った。仕事や家族、世の中に合わせて生きようとするから窮屈になる。ありのままの自分を曝け出し、自分を解放できれば、視野が広くなる。

    「2丁目で働き始めてからは、接客が好き、人を楽しませることが好きなんだと気づきました。もちろんはじめは上手くいかず、本当に悩みました。でも、自分が一生懸命何かを伝えよう、情熱を接客にだすことが大事なのだと気持ちを切り替えてからは、試行錯誤も楽しみながら働いてきました。“自分が変わらなければいけない”、という気持ちは強かったです」

    そして、未来へ

    新宿2丁目のBARダイヤは、来た人が鎧を脱ぎ、ありのままの自分になれる「人情酒場」だ。真世さんだからこそできた店だ。そしてそれは、あの波乱万丈人生があったからこそなのだろう。

    「withコロナの時代、私たちは、今まで以上にプロ意識を持ってクオリティの高い接客を心がけなければいけないと思うんです。外に飲みに行く機会が減り、家飲みの楽しみも覚えてしまった人も多くいる。わざわざ店に来て飲んでいただくために、もっともっとサービスの質を上げていかないと。次の目標は10周年パーティ。そしてその後もずっとずっとこの仕事を続けたいから」

    真世さんは、前を向き続ける。

    取材協力:「ニューハーフBARダイヤ」東京都新宿区新宿2-7-2 3F 03-3350-8050

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  • ブランディングって、小さな会社にも必要なの? 〜選ばれる店づくり〜

    ブランディングって、小さな会社にも必要なの? 〜選ばれる店づくり〜

    「お客様に選ばれる店にならなければいけない」

    コロナ禍の中、飲食店オーナーは口を揃えて語ります。

    コロナにより生活スタイルは一変しました。デリバリーや、家飲みは当たり前となり、外食は今まで以上に、友人や大切な人との食事の場として求められるようになりました。その需要に応えるために、飲食店オーナーの本物志向の意識は強まっています。

    しかし、「選ばれる店」といっても、ゴールは漠然としており、何から始めればよいのか分かりません。そこで、本紙では、選ばれる店づくりの手段として、「ブランディング」を使った方法をご紹介します。なぜ、今ブランディングが大切なのか、どのようにブランドを作り上げていくのか、複数回にわたり解説していきます。教えて頂くのは、ブランドプロデューサーとして活躍する、VISION BRIDGEの代表、大磯爵歌(おおいそ くらか)さんです。

    ブランディングって、そもそも何なの?

    本題に入る前に、ブランドがあることでどんなメリットがあるか整理していきましょう。

    まず、消費者が商品やサービスを選ぶ時、ブランドがある方が選ばれやすい、というのはイメージが湧くかと思います。同じ素材や性能の鞄でも、ヴィトンが選ぶれるのは、ヴィトンを持つ事で外出がワクワクする、ステイタスや信頼を表現できる等、鞄を使うこと以上の価値を得られると、消費者は感じているからです。つまり、ブランドとは単なるロゴやデザインそのものだけを指すのではなく、その商品やサービスを手にすることで、得られる体感値も含めて「ブランド」といいます。そして、そのブランドを育てていく事が「ブランディング」。大磯さんは、ブランディングを次のように定義します。

    「ブランディングとは、自社の想い、考え、価値観、哲学を浸透させ、お客様からの信頼を作る活動である」

    つまり、自社が大切にしている考えや想いを知ってもらうことで、お客様からの信頼を獲得し、店なら足を運んでくれ、商品やサービスなら手を伸ばしてもらえるようになるということです。信頼を作る活動こそが、ブランディング。そう考えると、ハイブランドだけに必要なものではない、とご理解いただけるかと思います。

    ブランディングの予算なんて無いよ、と言うあなた

    「ブランディング」と聞くと、ほとんどの人が、かっこいいホームページを作ったり、おしゃれなロゴを作ることを思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、デザインやロゴはブランドを象徴するものであって、それらを作れば、「はい、ブランドが出来ました」となるわけでありません。繰り返しになりますが、ブランドを育てるためには、お客様から信頼を獲得することが大切です。

    ブランディングには4つのステップがある

    ①想いの言語化

    お客様にどんな経験を提供したいのか、従業員は何を大切にしているのか、自社が大切にしている考えや想い、価値観、哲学をお伝えするために、考えられることを書きだす。

    ②コンセプト作り

    書きだしたものの中から、共通するものをグループに分け、そこから核となるキーワード、物語を見つけ出し、表現の方向性を定める。

    ③可視化

    コンセプトをもとに、どのようにお客様に伝えていくのか。ホームページのデザインや、ロゴ、キービジュアルに落とし込んでいく。

    ④浸透(アウトプット)

    自分たちの想いを、どのように世の中に浸透させていくか。お客様への声かけ一つにしても、どのような声掛けが良いかを考え、それらを実践していく。SNSで発信していくことも大切。

    以上が、ブランディングの4つのステップです。自社の想いを言語化し、それを表現する。「そんなの既にやっているよ。」と思う方もいるかもしれません。そうなんです。SNSで想いを発信する、産地のこだわりを印刷してメニューブックに貼り付ける等、何気ないあなたの行動もブランディングの一つなのです。つまり、ブランディングとは、予算が潤沢にある企業だけが取り組むものではなく、お客様と接する企業であれば必要なものといえます。ブランディングを体系的に学ぶことで、これまでの何気ないSNS発信や、お客様への接客はさらに磨かれていくことでしょう。それが、ひいては「選ばれる店」に繋がっていくのです。

    しかし、ブランドを育てることは容易ではありません。次回は、今回紹介した4つのステップの中でも、最初の壁である「想いの言語化」について、具体的な考え方や方法についてご紹介していきます。

    著者プロフィール 大磯爵歌(おおいそ・くらか)さん

    VISION BRIDGE 代表。言葉で育む、ブランディング研究所主宰。1980年生まれ。岩手県花巻市出身。横浜市在住。2児の母。法政大学経営学部にてマーケティング、ブランド論を専攻。2003年株式会社ミクプランニング入社。2007年株式会社大広へ転職、ブランドプロデューサーとして勤務。2018年 VISION BRIDGEを設立(パラレルキャリアスタート)。2021年独立。

    業界歴18年間のキャリアを通して、アルコール、自動車、化粧品、流通、飲料、官公庁など、さまざまな業種・業界プロジェクトを手掛ける。現在は、小規模事業主の「新たな顧客との出会いを作り出す」「ブランドストーリーをひもとき、紡ぐ」ブランド戦略のトータルプロデューサーとして、コンセプトの構築から、コミュニケーション計画の設計、ビジュアル開発、PR戦略に至るまでを一手に請負い、その一気通貫した仕事は顧客から高い評価を得ている。

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    毎月15,000部を発行する飲食業界誌です。飲食業界で働く人の笑顔を全国に届けたいという想いから、2009年に創刊しました。飲食店経営の楽しさ、厳しさなど、飲食への想いを丁寧に取材しています。

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